2012年12月27日木曜日

ドイツ・ゲーテ紀行(2)

週末からクリスマスにかけて沖縄に行ってきました。
冬になると曇りがちの天気が続く沖縄ですが、イブとおとといは太陽も顔を出して、日差しも強く、外を歩いていると汗ばんでくるぐらいの陽気でした。
おかげで、今年の冬も暖かい空気の中、すっかりゆるんできました。
それにこの時期に来るのは初めてだったので、南国のクリスマスの雰囲気も味わうことができました。
これは牧志公設市場のクリスマス・イルミネーション。


横浜に帰ってきてあまりの寒さに震えているところですが、とてもうれしいクリスマスプレゼントが家に届いていました。
DNP(大日本印刷)が有料でフォトブック作成のサービスを行っているのですが、先日、五反田にある「ルーブル-DNPミュージアムラボ」にゴヤの「青い服の子供」を見に行ったときに無料クーポン券をいただき、これを利用してドイツ・ゲーテ紀行の写真にキャプションをつけてDNPにデータを送ったところ、完成したフォトブックが届いていたのです(「ルーブル-DNPミュージアムラボ」は完全事前予約制になっていて、本物のルーブル美術館所蔵の美術品が一点展示されています)。
文庫本サイズなので手のひらに乗るほどの小さなものですが、「自分だけの本」と思うと愛着が湧いてきます。





これ以上紹介すると今後のブログのネタがばれてしまうのでこれくらいにしておいて、フォトブックの編集作業や沖縄旅行でブログの更新の間隔があいてしまいましたが、さっそく前回からの続きにもどりたいと思います。

9月5日(水)続き
10時11分、定刻になるとライプツィヒ行き特急IC2157は音もなくホームをすべり出した。

今回の旅行は、まずワイマールまで行き、そこで3泊して市内観光とエアフルト日帰り旅行、フランクフルトに戻って2泊して市内観光という行程で考えていた。
アイゼナハに行ってワルトブルク城を見に行きたい気もしたが、時間的に厳しいかなと思い、今回は行かないつもりでいた。

ワイマール到着まで2時間45分。
さて、今日の午後はどうしようかと、新潮社とんぼの本『ゲーテ街道を行く』をぱらぱらとめくり始めた。

予報によるとワイマールは雨。
では、今日はまず、現在では美術館になっている「領主の居城」、ゲーテが最期の時まで50年間住んでいた「ゲーテ・ハウス」といった建物の中を中心にまわろうか、そして明日はエアフルト、あさってはワイマール市内散策、最終日は見残したところを回ろうかな、などと頭の中で考えてみた。

しかし、アイゼナハ駅に近づき、後ろの山の上にそびえ立つワルトブルク城を見て考えが変わった。
「やっぱりアイゼナハにも行きたい!」
右の写真は翌日、アイゼナハ駅前で乗ったバスの車窓から撮ったものだが、列車の中からも同じようにワルトブルク城が見えた。


 そうなると明日はワイマールから特急で1時間かかるアイゼナハに行き、あさっては各停でも17分で着くエアフルトに午前中行って、午後はワイマール市内散策にあてよう、とさっそく予定変更。

ワイマールには予定通り12時56分に到着。
少し遅めの昼食を駅ナカのカフェで食べたあと、時刻表を調べ、駅の窓口で翌日のアイゼナハ行の特急券を予約した。やはりここも窓口は中年の女性で、てきぱきと対応してくれた。


これは昼食。左はポテトサラダ、パンの後ろは大好物のサクランボタルト。全部食べきれなかったので、右のパンは食べずに持ち帰ったが、これが次の日役に立った。

駅を出ると小雨が降っていた。
ホテルまでは歩いて約10分。駅からまっすぐ延びる道をしばらく歩いていくと、街の中心に入っていく。





これが宿泊したホテル・エレファント。
ワイマール一番の高級ホテルだ。













ほんとうはもっと部屋代の安いホテルにしたかったのだが満室だったので、街の中心にあってどこへ行くにも便利だし、と思い切ってここにしたのだ。
おかげで相当な金持ちと思われたのか、フロントの女性従業員に、ホテルの中の高級レストランをやたらと勧められた。

フロントでの会話。
「こんにちわ、部屋を予約している〇〇です」
「あっ、〇〇さんお待ちしていました」
とさわやかな笑顔。
ホテルのフロントは、駅の窓口とは違いどこも若い女性ばかりだ。
ワイマールは旧東ドイツ側にある。観光はドイツ統一後に盛んになったので、この分野への女性の進出は遅れたということだろうか。

チェックインの手続きが終わった後、
「あなたのために今晩の夕食の席を用意しています」
「予約はしていませんが」
「いえ、今からでも大丈夫です」
「それはどこですか」
「ホテル内のレストランです」
念のため料金を確認したいのと、朝食会場にもなっているとのことなので、案内してもらうことにした。
そのレストランは中庭に面したところにあった。
「メインを2品注文して40ユーロ、3品注文すれば60ユーロです」
日本円にして4~6,000円だ。高い。
そこで、「アンナ・アマーリア」という名のレストランがイタリア料理だったのをいいことに、
「できれば郷土料理を食べたいので他にします」
と言うと、
「ホテルの地下に『エレファント・ケラー』というレストランがありますよ。よければ予約を入れておきますが」
「メニューを見て考えます。予約するときはお願いします」
「わかりました」

チェックインにはまだ早かったので、必要なものだけを小さいザックに移し、持ってきたザックはその女性従業員に預けた。
「ではお預かりします。行ってらっしゃい」
と笑顔。
紹介したレストランを断ったからといって機嫌を損ねたふうではなかった。
それもそのはず、レストラン攻勢はその後も続いた。
(次回に続く)

2012年12月10日月曜日

ドイツ・ゲーテ紀行(1)

9月4日(火)深夜
全日空が羽田発のフランクフルト直行便を出してくれたおかげで、ドイツがほんとうに近くなった。
仕事を終えて家に帰りシャワーを浴びて、ザックを背負って羽田空港に向かっても受付時間の11時には余裕で間に合う。
日付が変わって午前1時に出発するNH203便は、その日の朝6時10分にはフランクフルトに到着するのだから、初日から丸1日観光に使える。
帰りも昼の11時55分にフランクフルトを出発して、翌朝6時20分には羽田に到着するので、無理をすればそのまま会社に行って仕事をすることもできる。
週末をからめれば何日も休暇をとらなくてもドイツに行けるようになったのだ。
費用対効果を考えれば、せっかくお金をかけるのだから長く現地にとどまりたいと思うのが人情だが、行きたいけど時間がとれないという人でもふらりとドイツに行けるのだから、この気軽さがなんともいえない。

ドイツだけでなく、アジアやヨーロッパ、北米に行く便も多い。
週末を利用して東南アジアやアメリカにも行けると思うと、嬉しくなってくる。私は眠気をこらえながら、しばし出発便の案内ボードを眺めていた。
そのあとは眠気覚ましに、夜中でも一つだけ開いていたカフェでコーヒーを飲みながら、駐機場に停まっている飛行機を眺めていた。



9月5日(水)
フランクフルト空港にはほぼ定刻どおり到着した。
ワイマールに向かう特急が出発するまでまだ時間があったので、まずは朝食。
さすがに空港の中だけあって、朝早くてもコーヒーショップはしっかり開いている。
そこで食べたのがこれ。
大好物のブレッツェル、それにモッツァレラチーズとトマトのサンドとコーヒー。

食後は、構内のベンチで一休み。
下の写真は今回の荷物。
昨年の11月にドイツに行った時は寒さ対策で服がかさばったが、今回は一回り小さいザックに荷物を収めることができた。
とは言っても、ワイマールはかなり涼しいという予報だったので、セーターとジャケットを持って行ったが、その分は外付けになってしまった。左の黄色い袋に入っているのがセーター。
海外に行く時も荷物はザック一つ。古着は途中でホテルに置いて、空いたスペースにお土産のお菓子を入れて帰ってくる、という私のポリシーからすると、少しズルをしたことなるが、ワイマールではセーターとジャケットを着て歩いたし、帰りはお土産といっしょにセーターから何から全部ザックに押し込むことができたので、まあ合格点だろうか。

列車は8時11分に出発する。
私は少し早めに空港地下の長距離列車用のホームに降りて行った。
そして、電光掲示板で時間と到着ホームをもう一度確認してからベンチに座り列車の到着を待っていた。
しかし、出発時間が近づいても、ホームに列車が入ってこない。
遅れているのかなと思いもう一度電光掲示板を見たら、いつの間にか「運休」というテロップが流れていた。
運休のアナウンスは何もなく、テロップには運休の理由も書かれていなかった。
しかたなくもう一度上の階に上がり、駅の窓口で次の列車に座席の予約を変更することにした。
時刻表を見たところ、1時間後にICE(ドイツの新幹線)がある。

「(運休になった特急の券を見せながら)ワイマールに行きたいので、9時1分発のICEに変更したいのですが」
「(手元のコンピューターで調べて)この列車は満席です。10時11分発のIC(特急)なら席はありますが」
「そうですか。ではそれでお願いします」
「料金は・・・、あっ、もう支払済みですね。ではチケットをどうぞ」
「はい、ありがとうございます」


たまたまかもしれないが、駅の窓口で私の対応をしてくれるのは、なぜか決まって中年の女性だ。
応対は丁寧すぎるということはなく、気さくで、そして堂々と自信をもっててきぱきとさばいてくれるので安心できる。

ということで、結局フランクフルト空港駅で2時間待たされることになったが、その間、ゲーテの自伝『詩と真実』の中のヨーゼフⅡ世の戴冠式の祝宴に若き日のゲーテがもぐりこんだ箇所を読み返したり、地球の歩き方のワイマールのページを見たりしながら、これからの行程の予習をすることができた。

これが私が乗った特急。

(次回に続く)