2014年6月26日木曜日

バイエルン美術紀行(15) レジデンツ博物館

平成25年9月7日(土)続き
レジデンツ博物館の圧巻はなんといってもバイエルン公アルプレヒト5世(在位 1550-1579)が、蒐集した古代彫刻を飾るためにつくった広間「アンティクヴァリウム(Antiquarium)」。
ローマ時代の彫像がずらりと並び、天井や壁のフレスコ画もきれいだ。
第二次世界大戦で壊滅状態になったレジデンツの中で、この「アンティクヴァリウム」も爆撃で天井に大きな穴があいたが、戦後、見事に復元されている。



このアンティクヴァリウムを通り抜けて上の階に上がると、小さな部屋がいくつも続いているが、どこにも陶器や絵画、豪華な調度品やタペストリーなどが陳列されている。
きっと動かせるものは空襲に備えて避難させていたのだろう。










ずらりと並んだ銀食器!。

空襲で破壊されたレジデンツは修復のため公開していない箇所も多くあるが、公開しているところでも修復の試みは今でも続いている。
だからこそ修復前と修復後が比較できるおもしろさもあった。

こちらは修復前。天井や壁の枠を取り付けたところ。

こちらは修復後。
絵画をはめ込んだり、木の枠組みに装飾をほどこしたりして見事に過去の栄華を再現している。



レジデンツ内の教会は、空襲で大きな被害を受け、現在ではホールとして使われている。



左から空襲直後、空襲前、屋根をつけて仮修復したところ。




各部屋のところどころにいる係の人たちはとても親切だ。
「皇帝の間(Kaisersaal)」にいた係の人は、下の写真の左側の窓から外を指差して、「この窓から英国庭園(Englischer Garten)が見えるんですよ。英国庭園には行きましたか」と声をかけてくれた。
窓の外を見ると、手前にあるホーフガルテンの後ろに英国庭園の緑が広がっている。私は「ええ、行きました。緑の多いところですね」と答えた。


王宮の中には礼拝堂もある。


壁に所狭しと絵画がかけられた「緑のギャラリー」



そして最後はヴィッテルスバッハ家の歴代の領主たちの肖像画がずらりと並んだ大廊下。
こういった部屋を「祖先画ギャラリー(Ahnengaleria)」と言うそうだ。



大廊下の真ん中あたりの柱にはヴィッテルスバッハ家の家系図。


レジデンツ博物館の次はクヴィリエ劇場。
この劇場は18世紀に建てられたロココ様式の建物で、ご覧のとおり豪華絢爛な装飾にに目を惹かれる。


(次回に続く)



2014年6月13日金曜日

バイエルン美術紀行(14) レジデンツ博物館の宝物館

平成25年9月7日(土)続き

レジデンツは、1385年にミュンヘンの北東を守る砦として建築され、その後、1508年から1918年までヴィッテルスバッハ家の宮殿として使われてきた。
その間、何百年にわたり増改築が繰り返されてきたので、レジデンツはまるで迷路のように入り組んだつくりになっている。



この迷宮の中で現在見ることができるのは、世界各地から集めた財宝を展示する宝物館、かつて広間や居間といった居住空間として使われていたレジデンツ博物館、そして、きらびやかな内装のクビリエ劇場。

最初に入ったのは宝物館。
その名のとおりヴィッテルスバッハ家の栄華を誇示するかのように、まばゆいばかりの金銀財宝がこれでもかといった具合にずらりと並んでいる。

神聖ローマ帝国皇帝ハインリヒ2世(973-1024)の聖遺骨櫃はじめ黄金に輝く財宝のオンパレード。 





そういった中にあって、こういったかわいいものも。きっと子どものおもちゃなのだろう。
下の写真は丘のてっぺんで猿がオルガンを弾いている。その下は熊が鉄砲を構えている。


高さ3mはあろうかという黄金のオベリスク。

旅行用のお化粧道具。

螺鈿のきらびやかなチェス盤。

全部見終えて時計を見たらすでにお昼前。ゆうに2時間は見ていたことになる。
足は少し疲れてきたが、おなかもすいていないし、時間ももったいないので、構わずにそのままレジデンツ博物館の入口の方に向かった。
(次回に続く)