2014年8月29日金曜日

最近行った美術展(3)「デュフィ展」 「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」

「最近行った美術展」の第3弾は、少し前になりますが、7月の終わりに行った「デュフィ展」と「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」です。
残念ながら「デュフィ展」は東京会場では終わってしまいましたが、今は大阪のあべのハルカス美術館で開催中です。
このパンフレットは、あべのハルカス美術館バージョンです。



海や空、草木や花、そしてパリや南フランス、デュフィの生まれ育ったル・アーブルの街角や広場、さらにはアトリエの中。
会場いっぱいに明るい色彩のデュフィの世界が広がっています。
こういった風景を見にヨーロッパの街に行ってみたい、そんな気持ちにさせてくれる展覧会でした。

10月9日からは愛知県美術館にも巡回します。
詳細はこちらをご参照ください。
 ↓
http://event.chunichi.co.jp/dufy/


次の「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展」は、現在、世田谷美術館で開催中です。
圧巻はなんといってもパンフレットの表紙になっているモネの「ラ・ジャポネーズ」。
鮮やかな色彩と着物の柄になっている刀を抜こうとする武者の立体感は必見です。

印象派の画家たちが日本の浮世絵から強い影響を受けたのはよく知られていますが、今回の展覧会では両方を並べて展示しているので、どれだけの影響を受けたかがよくわかります。
それにしてもモネの「積みわら」が広重の東海道五十三次「鞠子宿」の構図からヒントを得たとは知りませんでした。
でも、いくらモネといえども鞠子宿のとろろ飯の味は知らないでしょうね。1時間以上待ってでも食べるだけの価値がある美味しさでした。

この展覧会も京都、名古屋と巡回します。詳細はこちらをご参照ください。

http://www.boston-japonisme.jp/top/










2014年8月24日日曜日

最近行った美術展(2) 特別展「台北 國立故宮博物院」

「メトロポリタン美術館 古代エジプト展」で古代エジプトの世界に迷い込んだあとは、東京国立博物館で開催中の特別展「台北 國立故宮博物院」で中国皇帝の芸術コレクションにため息をついてきました。

こちらは東京会場バージョンのパンフレットです。 


今回の展覧会は、台北 國立故宮博物院の約70万点の収蔵品の中からよりすぐりの186作品が展示される豪華なもので、自らも筆をとり、書画や古器を愛し、文化事業を保護奨励した北宋の第8代皇帝 徽宗(1082-1135 在位 1100-1125)、その徽宗を敬愛し、学術を奨励した清の第6代皇帝 乾隆帝(1711-99 在位1735-1795)のコレクションを中心に、歴代皇帝の蒐集した美術品がずらりと並んでいます。

特別展だけではありません。
本館やアジア・ギャラリー(東洋館)でも「台北 國立故宮博物院」とコラボした作品が展示されているので、こちらも見逃せないです。
詳細はこちらでチェックしてみてください。
 ↓
http://www.tnm.jp/?mobile_view_mode=pc&tnm_session=0jisgfdnikc6qit4oes5qe1ch2

これだけの素晴らしい作品を見ると、もっと他のものも見てみたいという気になってきます。
ぜひとも近いうちに現地に行って、今回は見逃してしまった大人気の翠玉白菜や、日本に来なかった所蔵品も見に行きたいですね。

東京国立博物館での開催は9月15日(月・祝)まで、その後は会場を九州に移し、10月7日から11月30日までは九州国立博物館で開催されます。
九州会場だけで公開される作品もあり、話題の「肉形石」は10月7日~10月20日まで限定公開されます。
10月はちょうど九州に行く用事があって九州会場にも行く予定ですので、今から楽しみです。



こちらはパンフレットの裏面で、九州会場バージョンです。


2014年8月21日木曜日

最近行った美術展(1)「メトロポリタン美術館 古代エジプト展 女王と女神」

先週のことになりますが、8月12日~17日は夜9時まで開館していたので、仕事帰りに東京都美術館で開催中の「メトロポリタン美術館 古代エジプト展 女王と女神」に行ってきました。

会場に入るとすぐにハトシェプスト女王がお出迎え。




続いて、ハトシェプスト女王のスフィンクス、ひざまずくハトシェプスト女王像と並び、さらには当時の様子を再現したハトシェプスト葬祭殿の模型まで来ると、まるで時空を越えて古代エジプトの世界に迷い込んだような気分になってきます。

展示品のレイアウトも工夫されてます。
シストラムや弧状ハープといった古代の楽器の前に来るとその音色が聞こえたり、「王族の装身具」のコーナーでは照明を暗くして輝く金の装飾品がより一層きらびやかに見えるようにしたり、見る人を飽きさせません。
夏休みなので親子連れも見かけましたが、子どもたちも楽しそうに展示品を見てましたね。

古代エジプトでは神様がさまざまな動物たちの姿になって現れてきます。
牛、猫、ハヤブサ、ライオン、コブラ、そしてユーモラスな姿のカバまでも。
カエルやハエといった小動物や昆虫もその生命力からお守りになっていました。
1センチにも満たないかわいいカエルの護符をさがして見てください。

こちらは出口近くにある記念撮影スポットです


手前はハトシェプスト女王のスフィンクス。後方は首都テーベ(現在のルクソール郊外)にあるハトシェプスト女王葬祭殿の写真です。

このように最初から最後まで古代エジプトの世界を楽しませてくれる展覧会でした。
会期は9月23日(火・祝)までです。
毎週金曜日は夜9時まで開館しているので(入場は8時30分まで)、仕事帰りにふらりと古代エジプトを散歩してみてはいかがでしょうか。
展覧会の詳しい情報はこちらをご参照ください。

http://www.tobikan.jp/exhibition/index.html


下は11年前にハトシェプスト女王葬祭殿に行ったときの写真です。とても懐かしいです。





2014年8月18日月曜日

バイエルン美術紀行(18)アルテ&ノイエ・ピナコテーク

平成25年9月8日(日) ミュンヘン
ミュンヘン最終日はアルテ・ピナコテークとノイエ・ピナコテーク。

アルテ・ピナコテークは1836年に設立された美術館で、ヴィッテルスバッハ家によって集められた14世紀から18世紀にかけての西洋絵画の名品がずらりと並んでいる。
アルテ・ピナコテークの向かいに建っているノイエ・ピナコテークは1953年にオープンした美術館で、こちらは19世紀の西洋絵画が展示されている。

夕方の4時の飛行機で日本に帰らなくてはならなかったので、あまり時間はなかったが、それこそ「駆け足」で2つの美術館をはしごした。
入館料は、日曜日だとアルテが3ユーロ、ノイエが1ユーロと、とてもお得。

最初に入ったのが、アルテ・ピナコテーク。
今回のバイエルン美術紀行のメイン・テーマであるデューラーの作品は見逃すわけにはいかなかったので、まずは2階の第2の間(SaalⅡ)に向かった。

こちらは西暦1500年、29歳の時に描いた「自画像」。
この2年前に出版された木版連作「ヨハネ黙示録」によって一躍ヨーロッパじゅうに名を広めた若きデューラーではあるが、血気にはやるという風でもなく、悟りの境地にたどり着いたかのような静かな表情を見ていると、こちらもなんとなく心が落ち着いてくる。
それにしてもこのしなやかな右手の人差し指!




「四人の使徒」


左から「カーネーションの聖母子」、「オスヴォルト・クレルの肖像」、「若い男の肖像」。



左から「キリスト哀悼」、「ルクレティア」、「キリスト降臨」、「悲しみの聖母」。


さすがヴィッテルスバッハ家、イタリア・ルネッサンスの作品も充実している。
左はフィリッポ・リッピの「受胎告知」、一番右はダビンチの「カーネーションの聖母子」。

右から2番目はラファエロの「カニージャの聖母子」。


そして圧巻はルーベンスの巨大な作品群。
昨年、渋谷のbunkamura ザ・ミュージアムで開催された「ルーベンス展」でもルーベンスの筆使いの迫力を感じたが、これだけ大きいと迫力も並大抵ではない。


こちらはエルグレコの「聖衣剥奪」。

(今回のブログの原稿を書くためアルテピナコテークのホームページをあらためて調べましたが、今年から2017年までリニューアル工事のため順番で閉鎖される部屋が出てくるようです。今はエルグレコの部屋は閉鎖されています。この時期にアルテピナコテークに行かれる方はご注意ください。)

駆け足といいつつアルテ・ピナコテークでかなり時間をとったので、ノイエ・ピナコテークは本当に駆け足になってしまった。
それでも、私は今回の旅行で多くの美術作品を見ることができた満足感にひたりながら、ミュンヘン中央駅に向かって歩いていった。

これはグスタフ・クリムトの「マルガレート・ストンボロー=ヴィトゲンシュタイン」(ノイエ・ピナコテーク)


さて、今回の旅行は、夕食を部屋で食べてばかりいて、それはそれで美味しいパスタやビールにありつけたのでよかったが、前日の夜は、ミュンヘン最後の夜ということで外で食べることにした。
とはいっても、足が向くのはやはりイタリアン・レストラン。
宿泊しているホテルに併設されていて、その名もヴェネツィアの「黄金の館」からとった「カドーロ」。



ミュンヘン最後の夜も地ビールとパスタで心地よく更けていった。
(バイエルン美術紀行終わり)

今回のドイツ旅行のレポートも1年かかってしまいましたが、気長にお付き合いいただきありがとうございました。
今年は、来月の3日から8日までケルンを拠点にその周辺の都市を回ってくる予定です。
帰ってきてから旅行記を紹介していきたいと思いますので、どうかご期待のほどよろしくお願いいたします。