2018年1月3日水曜日

2017年 私が見た展覧会ベスト10

あけましておめでとうございます。
昨年一年間のご愛読ありがとうございました。
今年もドイツ政治の動きや美術展情報などを掲載してきたいと考えていますので、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

昨日(1月2日)は、東京国立博物館に初もうでに行ってきました。
和太鼓の演奏や獅子舞があったりして、正月らしくとても華やいだ雰囲気でした。
そして今年の干支の「戌」にもたくさん会ってきました。
円山応挙の杉戸絵、かわいらしい香炉、おどけた表情の水滴、それに絵の中のどこに犬がいるか探すのも楽しいです(展示は1月28日(日)まで)。


円山応挙《朝顔狗子図杉戸》(部分)

染付子犬形香炉
仔犬水滴

伝夏珪《山水図》

さて、続いてすっかり年頭の恒例行事となった「私が見た展覧会ベスト10」2017年版を紹介します。 
いつものことながら、どれもいい展覧会ばかりでしたので、その中からベストテンを選ぶのは至難のわざですが、悩みながらもそれぞれの展覧会のことを思い出して楽しみながら選んでみました。

第1位 京都・大徳寺聚光院「狩野松栄・永徳父子の国宝の障壁画」特別公開

 去年見た絵の中で一番といえば、聚光院・室中之間の狩野永徳「花鳥図」。
去年3月までの1年間限定で寄託先の京都国立博物館から聚光院に里帰りした時に見てきました。やはり元あった場所に納まった「花鳥画」は格別でした。

第2位 静嘉堂文庫美術館「あこがれの明清絵画」と泉屋博古館「典雅と奇想~明末清初の中国名画展」のコラボ企画

 去年は国内にある中国絵画の名品を見る機会に恵まれました。展示替えもあって、講演会やギャラリートークもできるだけ聴くようにしたので、去年の秋は二子玉川と六本木一丁目には何回も行きました。

第3位 国立新美術館「ミュシャ展」

 超大作《スラブ叙事詩》全20作は圧巻でした。ミュシャの祖国チェコ国外では初公開。大きな展示スペースをもつ国立新美術館ならではですね。国立新美術館に感謝です。

第4位 出光美術館「水墨の風」「江戸の琳派芸術」

 どちらもいい展覧会だったので、少し苦しいですが室町時代から桃山時代、江戸時代と連続した一連の展覧会としました。ほとんど同館所蔵作品だけでこの時代の日本絵画史の概観が語れるのはすごいです。出光美術館の奥行きの深さをあらためて感じました。



第5位 三井記念美術館「驚異の超絶技巧!」

 2014年に開催された「超絶技巧!明治工芸の粋」の第二弾。今回は明治工芸と現代アートの対決編。会場内に火花がバチバチ飛び散る緊張の連続でした。現代のアーティストもすごい!

第6位 山種美術館「川端龍子 -超ド級の日本画-」

 51年目のスタートを切った山種美術館。去年もとても素敵な展覧会ばかりでしたが、一押しは大画面の作品でインパクトがあった川端龍子展。まさに超ド級。大田区立龍子記念館「龍子の生きざまを見よ!」と合わせ技で去年は龍子の迫力を実感できた年でした。


第7位 上野の森美術館「怖い絵展」

 絵の背景がわかればより怖さがわかる。入場までの待ち時間が話題になりましたが、それだけ見応え十分の展覧会でした。《レディ・ジェーン・グレイの処刑》の前に立って、絵のもつ説得力の強さに圧倒されました。


第8位 パナソニック汐留ミュージアム「表現への情熱 カンディンスキー、ルオーと
    色の冒険者たち」

 特に思い入れの強いカンディンスキーとクレーの作品をたっぷり見ることができて大満足でした。それも二人の作品のほとんどが宮城県立美術館の所蔵作品。こんないい作品がたくさん日本にあってくれて、とてもうれしくなりました。

第9位 三菱一号館美術館「パリグラフィック ロートレックとアートになった版画・ポスター展」

 外観も内装もヨーロッパの雰囲気そのままの三菱一号館美術館。そこに19世紀末のパリの街が登場しました。BGMにはシャンソンが流れていて、まるでタイムスリップしたような気分。会期は1月8日(月・祝)までですので、まだ間に合います!

第10位 六本木・森美術館「N・S・ハルシャ展」

 2千人もの人物が描かれていて一人一人のしぐさや表情が違って、中には動物もいたり、急激な近代化によって失われていくインドの伝統をさびしげな目で描いたり、じっくり作品を見れば見るほど楽しめる展覧会でした。

以上です。
みなさまのベストテンと重なる展覧会はありましたでしょうか?

全体として和洋中のバランスをとり、原則として1つの美術館につき1展覧会としました。また、第1位に狩野派を入れたので、サントリー美術館「狩野元信展」をはずしたり、第2位に「明清絵画」を入れたので、東京国立博物館と台東区立書道博物館とのコラボ企画「董其昌とその時代-明末清初の連綿趣味」をはずしたりと、バランスを考えて泣く泣くはずした展覧会もありました。

ベストテンから惜しくもはずれた展覧会もいいものばかりでした。見に行った展覧会の感想は私のツィッターにアップしていますので、こちらもぜひご覧になってください。


また、昨年も台北故宮博物院と上海博物館に行ってきました。こちらの様子はもう一つのブログで紹介していきますので、ぜひこちらもご覧になってください。